具体化と抽象化
社会人になると、
「具体的には?」
と、上司から聞かれることが多いと思います。
考えていることを具体化しなければ、相手には伝わりません。
「しっかりやります」
では、どうするのかわかりません。
「明日までに、目標の顧客が3名足りないので、15件外回りに営業に行きます。プランAを提案し、納得してもらえなければプランBを勧めますが、値段交渉はマイナス1万円までにし、次作の割引券5000円をプレゼントします。また、即決でなく持ち帰りになってしまった場合には、3日後までを期限として後追いをします。」
が、具体化です。
この伝え方であれば、伝えた側は「どう行動してくれるのか」がわかり、安心につながります。
また、その考えに抜けがある場合には、上司から具体的なアドバイスをすることができます。
そのため、
具体的に伝えるということは、とても大切です。
そして、
具体的に伝えるためには、
「具体的に考える」必要があるので、考える力が付きます。
しかし、
具体化だけにとらわれるのは注意が必要です。
なぜなら、具体化すると「情報量」が減るからです。
例えば、
「どんな1年にしますか?」
という問いに対して、
「笑顔がたくさんの1年にする(抽象化)」
という答えの中には、
・友だちと好きなスポーツをして楽しむ
・家族とテレビを見ながらゆっくりおしゃべりをして過ごす
・仕事で目標を達成して成長する
※それぞれもっと具体化できますが、省略。
など、たくさんの情報量が含まれます。
しかし、
「Aさんと、趣味のテニスを週1回行き、雨の日は卓球を2時間行う(具体化)」
という答えの中には、そのことしかありません。
つまり、抽象化した内容の中には情報量が多く、具体化した内容の中には情報量が少ないです。
「笑顔がたくさんの1年にする(抽象化)」
という抽象化した内容を考えた場合、そこから具体化して、笑顔をたくさん作るためのいくつかの行動目標を作ることができます。
すなわち、「これがダメでもこうしよう」と考えられる柔軟性があるということです。
しかし、
「Aさんと、趣味のテニスを週1回行き、雨の日は卓球を2時間行う(具体化)」
という具体化した内容の場合、そもそも考えるスタートの情報量が少ないので、考えることが難しく、さらにそれがダメだったときの別の行動目標を考えることが難しくなります。
そして、具体化して考えるくせがつくと、どんなときも具体化して考えるようになるので逆に抽象化ができなくなっていきます。
抽象化が悪く、具体化が良いのではなく、
物事を考えるときは、
「抽象化」→「具体化」
の順番がおすすめです。
まずは情報量を多くするために抽象化し、その上で具体化していく。
こうすることでスムーズに考えが浮かぶようになるので、
ご参考に♪